89歳と一日

義母は手術をして以来10日が過ぎ、昏睡状態から目覚めてもらうために、それまで使っていた点滴の変更をして2日経ち、普通ならばそろそろ目が覚めるはずなのに、全く意識は戻っていませんでした。

そして医師団からお話があるということで、義母の子供3人だけがその日の午後、病院に集まりました。医師団からの説明では、かなり重篤な肺炎も併発したために危険な状態であること、もし今回肺炎が治っても、点滴と機械に頼った植物人間状態になるだろうということが明らかにされました。

本人は元気な時に「延命措置によって植物人間状態になることを拒否します」という文にサインをしていましたので、「その意志」に従うべきであり、いつその延命措置を停止するかが子供3人にとってテーマになりました。

その日、もう復活する希望はないと宣言されたようなものでした。

病院から戻って来た夫は肩の力を落として、「いつ」がその時とすべきなのか、兄弟でもっと語りたいと思っているようでした。3人ともに思っていることは肉体的な苦痛だけは味わわせたくないということでした。



そこに義弟から電話で、数値が急激に悪化を示し始めたのでまた病院へ向かう、ということでした。
1時間半かけて病院から戻って来た夫でしたが、今度は二人で車に乗って病院へ。間に合うだろうかと気になりながら、私は心の中で「お義母さん、子供に自分の命の責任をかぶせたくなかったのかな?」と感じていました。



病院に到着してから1時間半後、家族7人が見守る中で本当に静かな最期の時を迎えることになりました。
荒い呼吸が徐々に静かになっていき、あらゆる機器が波型から一直線に変化した瞬間がありました。
1つの人生が、命が今この瞬間にこの世から去ったのだ、と私の頭の中ではぐるぐると廻っていました。


その日は義母の89歳の誕生日の翌日でした。

「お義母さん、ありがとう」そう心の中でつぶやき続けました。
40代初めに未亡人となり、子供3人を一人前にすることが自分の使命と、本当に頑張って生きてきました。それに応えるようにそれぞれが愛情あふれる家庭を作り、その子供たちに見守られて最期の時間を迎えました。

初めてお義母さんに会った時、彼女は50代前半でした。
東洋人である私を大きく腕を広げてハグして歓迎してくれた初めての出会いを私は決して忘れません。


*************

テネリフェ島の記録の途中でしたが、義母のことをスルーするわけにはいかないと思い、アップしておきます。





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この記事へのコメント

さとし君
2019年11月06日 12:42
ararasさんのブログでは義母さまのことが何回も書かれてきました。他人ごとのように思えません。
6日付けの記事でご逝去されたことを知り、謹んでお悔やみ申しあげますと共に、心からご冥福をお祈りいたします。
2019年11月06日 17:34
お母様の訃報に接し
ブログの中のお母様のことを思い出し、またお母様やご家族様の気持ちへの想いも浮かびますが、なんて言っていいか分かりません。
ご家族の皆様は整理しきれない想いでいっぱいの事と思います。
ご自愛ください。
シナモン
2019年11月06日 21:22
こんばんは
お義母様のご冥福を心からお祈り致します。
araraさんもご自愛くださいね。
皆様へ
2019年11月06日 23:07
暖かなお悔やみのコメントをありがとうございます。
義母の人生を想う時に、本当にお疲れ様でしたと言う気持ちが湧いてきます。様々なことがあって、迷ったり困ったり、人生の山谷を潜り抜けて来た一人の人生というのは大きくて重いものがあると思います。3人の子供、4人の孫、2人のひ孫が彼女の人生から生まれて来た、もうそれだけで立派なことだと感じます。しばし平安の中で人生を振り返ることができますように願っています。
イエティ1号
2019年11月07日 09:39
久しぶりに拝見しに来たら、お義母様ご逝去との事。
本当にご愁傷様でございます。

araraさんのブログで何度もお義母様の事を伺っていてararaさんや皆様方がどんなにお義母様を慕われて尊敬されていらしたかが良く分かります。
araraさんが仰るように、お子さん達に命の責任を被せることなく、沢山の方たちに看取られての大往生だったのではと思います。
しばらくは皆さまお辛い日々が続きますね。

勿論、このコメントの返事はご不要です。
皆さまお大事に…。
2019年11月08日 17:03
ご母堂様の御逝去を心よりお悔やみとご冥福をお祈り申し上げます。89歳の天寿を全うされて、子孫にも恵まれ素晴らしい人生だったと思います。
What's up?
2019年11月13日 13:57
先日まで入院していまして、久しぶりに開いたら、悲しい内容で驚いています。
義母様のご冥福をお祈りしますと同時に御主人、araraさんが元気を取り戻してくださるように祈っております。
皆様へ
2019年11月15日 19:06
まとめてのお返事、お許しください。
お悔やみのお言葉、ありがとうございます。
お葬儀も終わった今、「彼女の人生は本当に終わったんだな」という気持ちが湧いています。当たり前のことなのに、いつまでも続くような気がしていたのですね。いつかは終わる自分の人生、もっと大切に生きたいと思っています。